2012年07月10日

ベルさんへ

ベルさん
覚えていらっしゃらないでしょう?

私は、3度程お仕事をご一緒させて頂きました。
あの頃の私は、今以上に未熟者で
ベルさんがどんなに偉大な方かも わかっているようなわかっていないような…

そんな私にも、ベルさんは
にこやかにご挨拶下さいました。
本番前に お付きの方と舞台袖に入られる時
一列になってお迎えするとき、
ベルさんが入られただけで、空気が一変するのが
若輩者の私にもはっきりわかりました。

張りつめた緊張感
そこにベルさんがいらっしゃるだけで
ただそれだけで
ベルさんのオーラで空気が一変してしまう…
いろんな方々とお仕事をさせて頂きましたが、
ベルさんのオーラは独特で、
とても「ベルさん」と呼べる空気ではありませんでした。
あのオーラを超えるオーラに 未だに私は出逢ったことがありません。

かと思うと、
大入りパーティーの時には
自らマジックショーを買って出てくださって、
ちょっとネタが見えたときに ぺろっと照れ笑いなさる姿は
おこがましくも、かわいらしいおばぁちゃんだ…
と思っていました。

あの頃は帝国ホテルにお住まいでしたよね。
一度だけ、どうしてそうなったか覚えていませんが
お招き頂いたときに、高貴な白檀のような薫りにうっとりしたことを
私は今でも覚えています。

私が東京を離れてから、
ベルさんがどんなに偉大な女優さんだったのか
改めて気づかされることがたくさんあって
私は、本当に、ご一緒にお仕事をさせて頂けたことを
とても幸せに、誇りに思いました。

私と同世代の人間は、きっとベルさんのこと
あまり知らないと思います。
私も、お仕事をご一緒させて頂くことがなかったら
きっと知らないまま生きていたと思います。
そして
今日の訃報も、へぇ…としか思っていなかったと思います。

芝居も舞踊も三味線も
何をなさってもすばらしく、舞台上のものでベルさんに不可能なものはないのではないかと思いました。

今 ここに香華の台本があります。
徳川の女たちの台本もあります。
きっかけを書き足して、何度も読み返していた台本。
でも、結局本番では、ベルさんのきっかけのセリフで
必ず身体が動いていました。
台本を追わずとも、ベルさんの氣に寄り添っていれば
自ずと身体が動くことが
あの頃は不思議でたまりませんでしたが
今なら あれが何故なのか、はっきりとわかります。

ベルさん
今はしあわせですか?
穏やかですか?
馴染みだった偉大な役者の方々とは
もうお会いになっていらっしゃいますか?

マジックショーを披露して
少女のように にこっと笑っていらっしゃいますか?

つつしんでご冥福をお祈りいたします。


山田 五十鈴 様へ



追伸
本番中に舞台袖のトイレに駆け込んで
ドアを思いっきり開けたら
そこに思いっきりベルさんがいらっしゃって
慌ててトイレから飛び出して
そこでお付きの男性から叱られていた時
何事もなかったように出てこられて
「ごめんなさいね。驚かせて。
カギをかけてなかった私が悪いのよ…」
って仰って、私をかばってくださったこと。
未だに忘れられません。


いろんな意味で…


ベルさん
天国ではトイレのドアのカギは
かけてくださいね…
私が天国に逝ったら、慌てて駆け込んで
また開けちゃうかもしれないので…

posted by Shara at 23:17| Comment(1) | TrackBack(0) | Life is beautiful! | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 また昭和の大きな灯が消えてしまいましたね。ブラウン管越しでしか知りませんが、それでも異次元のオーラビシバシでしたよね。        御冥福を。       
                     合掌

Posted by まつぼん at 2012年07月11日 07:19
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